· 

タンカを学ぶ人がネパールへ一週間だけ行くなら

授業中に生徒さんが

「ネパールでタンカを学んでみたいけど休暇は取れても一週間ですね~何かお勧めはありますか?」

と尋ねられました。

一週間で?うーーーーん。

いろいろ考えてみました。

 

私がタンカの何も知らなかった頃の自分に組んであげたい旅行日程を想像してみました。

私のスタジオ名にもしているポーバアートスタジオのネワール族が信仰するネパール密教のポーバを学ぶ、という前提です。チベットタンカなら少しまた違います。

 

宿泊はネワール建築の民泊。予約は難しいことではなくネパールに支店を持つ日系の旅行会社ならほとんどこのプランを持っているので難しくないと思います。朝ごはんと夕ご飯はここで頂く。

これが7泊。

 

午前中はポーバの先生を予約して一日三時間きっちり教えていただく。

先生を見つけるのが大変ですが、これも日系の会社にお願いすればどこからか探し出してくれます。

うちの師匠も締め切りに追われていなかったら対応してくれると思います。

ただ師匠の教室は色石を自分で叩いて砕いて粉にして10色ほど作りますが

一日八時間かけても色を絵具を作るだけで三日ほどかかってしまうので一週間の滞在なら

出来合いの岩絵の具を師匠から買って描くのがお勧め。

 

午後はタクシーをチャーターして世界遺産巡り。

カトマンズ市内から無理のない範囲に4つあるので一日一世界遺産。

自分で調べて回るもよし、ガイドをつけるもよし。

 

ポーバを学ぶ人ならパタンダルバールスクエアとバクタプルで写真を撮ってほしいです。

授業で描いたマカラ、キルティムカ(チェプ)やパタを至る所に発見できると思います。

 

他に、旅行会社か民泊のおうちの家族にお願いしてネワール族の民族衣装を作ってもらうといいと思ます。作る時間がなかったら既に持っている人に借りて着せてもらって着る過程を動画や写真に撮ったて座ってみたり、仏画のなかで見たポーズをとってみたり資料として残してください。

この経験は大切です。

 

もし作る時間がなかったとしても何処か仕立て屋か服屋に行ってドーティーという一枚布の巻きスカートがあるのでこれをとりあえず買って帰国してほしいです。

ドーティーというのはインドの伝統的な男性用の腰巻です。ポーバの神様の多くがこのドーティーを着ています。帰国後YouTubeで着方指南の動画があるのでそれを見ながら実際に着てみてください。こんな風にしわが寄るのか、このラインが斜めに来るのはこの着方だからなんだ!と解ります。

 

ドーティーはサイズ感の近いもの、生地は木綿のワイシャツの生地のような質感なので手芸店で買って日本でも出来るのでお勧めです。YouTubeで「DOTHI」で検索すると色んな着方が出てきます。見るだけでも「あのタンカのギャザーはこれだったのかしら」と発見があります。

 

資料集めのような旅になってしまいますが、本屋にも行ってみてください。

日本だとアマゾンで中身が見れない本もたくさんあります。

 

ほかはアクセサリーを買ってみてほしいです。

シンプル好きが多い日本人から見ると、こんな大きなジュエリーはどこにつけていくんだろう?

と本当に不思議なほど派手です。腕輪、足輪、ネックレス、イヤリング。高価なものではなくていいのでシルバーのポーバで見かけるようなデザインのものを買ってみてください。

帰国して一人で描くとき、必ず役立ちます。私はふっくらした宝石の丸みを描くのに指輪やピアスを引っ張り出してきます。

 

ジュエリーのほかはこれも資料として。日本でも民族雑貨屋さんで買えますがバジラ(金剛)、小さくていいので装飾のあるほら貝、ベルの購入もお勧めです。買わなくても写真をたくさん取ってほしいと思います。

 

一週間という期間でポーバのヒントになることを楽しみながら体験するならこんなことがお勧めかなと思います。

 

チベットタンカを中心に学ぶならチベット人の家に民泊で食事やお寺巡りをして、ジュエリーは上に書いたのと同じようなものを買ってみたらいいと思います。チベタンジュエリーはキレイですがタンカの中で描かれている様子はほとんどないので資料とするならインディアンジュエリーに近いものを見たら参考になると思います。

 

ジュエリーも法具もインターネットの画像検索でいくらでも出てくる時代ですが、重さや質感を知っておくのも大切なので実物を買えたら買ってみてほしいです。日常使いするものでもないので資料として割り切って安いもので構いません。

 

個人旅行でこの日程を決行すると、必ず約束の日にちを間違えたり大遅刻する人に会うので

フレキシブルにね!とタンカを始める前の私に一番大切なその点をよく伝えてあげたいと思います。